愛媛大学農学部・大学院農学研究科

大学院

生物環境学専攻

 生物環境学専攻では,高度な専門的知識,技術を身に付けさせるとともに,生物環境学に係わる多様な先端研究を理解し,かつ,自身の研究成果を幅広く発信 できるプレゼンテーション能力を身に付けさせる教育を行うことを特色としている。具体的には,森林資源学コース,森林環境管理学サブコース,バイオマス資源学コース,地域環境工学コース,環境保全学コース,水環境再生科学特別コースにおいて,各分野の最先端の科学と技術に係わる教育を実施する一方で,コー ス共同開講方式による現地実習(インターンシップ),実習報告会,研究発表会(中間発表会,最終発表会)などを実施する。これらにより,特定分野の専門家 としてはもとより,生物環境学における一般実務家としても高い能力をもった人材の育成が達成される。

コース・教育分野等

コース教育分野教員
森林資源学コース

森林遺伝学

 森林遺伝資源の活用と保全を図るため,森林樹木を主な対象として分子生物学および集団遺伝学的手法を用いた研究及び技術の開発を行う。温帯林や熱帯林を対象に遺伝的多様性の創成・維持機構の解明を目指し,これに基づいた保全・修復技術の開発を行う。

コースの教員

森林資源生物

 森林の造林,保育,修復,再生について,主に生態学,生態生理学,土壌学,保護学の手法を用いて考究する。森林の物質循環,物質生産,多様性維持,樹木の生態生理の解明を研究目的とし,成果を森林の適切な維持管理技術の開発に応用発展させる。

森林資源利用システム

 森林資源材料の多面的な特性開発と持続的循環利用技術のシステム化。

木質バイオマス変換

 再生可能で環境親和的なバイオマスを資源・エネルギー源として総合的に活用するために,バイオマスの代表である森林資源を利用したアルコール,メタンへの変換及び熱・エネルギー変換技術等を開発する。

森林化学

 森林資源を構成する樹木抽出成分に含まれる生理活性物質を用いた研究および技術の開発,森林微生物の酵素を用いたバイオレメディエーション技術に関する研究および技術の開発を行う。

森林環境制御

 森林を育む基盤地質及び森林生態系の持つ環境保全機能の解明と自然災害防止を含む流域管理技術のシステム化。

流域森林管理

 「多様な森林整備」と「林業産地形成」を2つの柱とする「森林の流域管理システム」の構築を推進するための教育研究を行う。

森林資源計画

 森林を物質および環境両面の資源としてとらえ,その計測法とともに地域的・国家的・世界的な管理・経営・計画システムの構築をはかる。

森林教育

 森林資源は今後の持続可能な社会づくりに不可欠である, という認識を共有するための方策を探る。すなわち,森林の持つ多機能性・循環性・持続性といった特徴を,広く社会に普及しながら,森林・林業に対する意識の変革を促す教育方法のあり方について研究する。

森林環境管理学

 森林・林業を活かした地域振興を目指し,森林環境管理に不可欠な資源利用と環境保全を両立させる方策を求めて,作業技術などのミクロな視点から森林計画などのマクロな視点まで,ヒューマンファクターを中心に研究する。

森林環境管理学リカレントプログラム

バイオマス資源学コース

紙産業教育

 木材を材料として有効活用するために,パルプ製造や抄紙技術,機能性素材の開発や複合化,製紙廃棄物や排水処理に関する教育研究を行う。

コースの教員
地域環境工学コース

地域防災学

 安全・安心な生活・生産環境の維持・創造にとって農村地域の防災・保全は必要不可欠なものであるが,特に,地すべり,斜面崩壊等の自然災害から農村の生活・生産の場を保全するための方策を考え,それらに必要な各種構造物の最適な設計施工法について,基礎理論,実験および数値計算からなる力学的解析を通して教育研究を行う。

コースの教員

施設基盤学

 水資源を,恒常的に確保し供給するための水利施設の構造設計,施工,維持,管理方法,さらには,農村地域の基盤整備に係わる地盤工学的諸問題に対して研究教育を行う。

水資源システム工学

 流域環境と生態系保全に配慮した「水資源」の開発・管理と浅水域における最適な「水環境」の創生・管理について教育研究を行う。

地域水文気象学

 流域や農地および森林における水循環過程,地表・植生・大気の微気象学的相互作用,農地の潅漑排水,地球環境や土地利用の変化に伴う水文気象学的過程の変化などに関する諸課題について教育研究を行う。

地域環境整備学

 農地等の土地資源や農村地域の水環境を,持続可能で適切な状態に保全・創造することを目的とし,農村工学的環境整備の技術や手法に関する教育研究を行う。

農村計画学

 農業生産や農村生活の場となる農村空間を対象に、農業生産性向上や地域活性化を目的とした土地利用および土地改良の計画、および自然との共生に配慮した空間デザイ ンの探求を通じて、農業農村工学の観点から持続可能な土地資源の利用と管理手法に関する教育研究を行う。

環境保全学コース

大気環境科学

 都市化や工業化に伴う大気質の悪化,降水酸性化,地球温暖化など,局地スケール,都市スケール,地域スケール,地球スケールの大気環境問題を相互に関連する現象として捉え,観測,モニタリング,データ解析,モデル解析等により,その動態を解明し,人々の生活や産業活動のインパクトが大気環境に及ぼす影響を評価する中で,人の健康や,環境に及ぼす影響を少なくする為の生活方法と生産システムを追求する。このために必要な,理論と技術に関する教育研究を行う。

コースの教員

生態系保全学

 主に水圏生態系の生物過程の解明と生態学的立場からの保全・管理。

水族保全学

 水族の保全,特に遺伝マーカーを用いた多様性評価に関する研究。

水族繁殖生理学

 魚介類の生殖・生理機構を分子・細胞レベルで解明し,それに基づく新しい水産増養殖技術確立を目指した教育研究を行う。

農生態学

 農生態系の構造と機能について,生物の分布や数の決定要因を物理化学的あるいは生物的環境との相互関係を通して実験科学的に解析し,農業の発展と環境保全の調和を目指した総合的管理のための教育研究を行う。

海洋分子生態学

 海洋環境における高分子代謝,遺伝子伝達,微生物機能ならびに生物間相互作用を分子レベルで解明する。

分子細胞生物学

 実用的生物における,細胞の動的構造と遺伝子発現のダイナミズムの分子細胞生物学的解明及び遺伝子の構造と進化系統に関する教育と研究を行う。

水圏・土壌環境学

 地球表層環境に生じた極微細コロイドの特性と化学構造及び同コロイドと化学物質の相互作用のナノレベル解析。

環境計測学

 微量環境汚染物質の環境動態解明やリスク評価に資する化学的計測法や生態影響試験法の開発および各種環境・生態影響調査に係る教育研究を行う。また、循環型社会の推進に資する廃棄物の適正処理や再資源化技術、排水管理手法の評価・提案に係る教育研究を行う。

環境産業科学(三浦工業)

化学物質汚染の対策技術及び計測技術並びに廃棄物の再利用技術等について研究開発を行う。

水環境再生科学特別コース

水環境再生科学

 わが国はもとより発展途上国等において,生活排水,農業排水,工業排水等が原因となって汚染が進行している農村の農業用水,生活用水,地表水,地下水といった水環境の再生と,下水再生水や下水汚泥の農業等への利活用を目的として,水処理工学や分子生物学を基礎とする環境修復・保全の技術や手法に関する教育研究を行う。

コースの教員

ディプロマ・ポリシー(修了認定・学位授与の方針)

教育理念と教育目的

 生物環境学専攻は、愛媛大学大学院学則及び愛媛大学憲章の趣旨を踏まえ、農学領域に関連する学術の理論及び応用の研究並びにそれらの成果を基に、食料、生命、環境に関する専門的知識・技術、特に生物環境に関する高度な専門的知識・技術を学生に修得させ、自然と人間が調和する循環型社会の創造に貢献できる高度専門職業人や研究者を養成し、併せて、農学分野に関心をもつ社会人を再教育することによって、地域社会や国際社会における産業の発展と文化の進展に貢献することを目的としています。

育成する人材像

 自然と人間が調和する循環型社会を創造するため、人間と生物を取り巻く様々な環境、例えば、森林、農地、河川、湖沼、溜池、海洋といった、山から海に至る広範囲の環境を高度に創造・修復・保全・管理・利用でき、かつ、それらに係わる研究を推進する基礎能力をもった人材を育成します。

学習の到達目標

(知識・技能・理解)
 生物環境の創造・修復・保全・管理・利用に関する高度な専門知識と技術を修得している。また、これらを用いるための高い倫理観を身につけている。

(思考・判断)
 自然と共生する持続可能な社会の構築の観点から、地域社会や国際社会における食料、生命、環境に関連する諸課題、特に環境に関連する諸課題の原因を論理的考察に基づいて説明し、有効な解決策を見出すことができる。

(興味・関心・意欲)
 上記の諸課題への関心と身に付けた高度な知識や技能をこれらの解決に役立てたいという意欲をもち、高い倫理性をもって、課題解決のための行動を自律的・継続的にとることができる。

(表現)
 高度なプレゼンテーション能力と高いコミュニケーション能力をもち、自らの論理的な思考・判断のプロセスや結果を適切に説明することができる。

(主体性・協働性)
 優れた主体性・協働性を発揮し、上記の諸課題を解決することができる。

修了認定・学位授与

 農学研究科の定める教育課程を修め、規定する期間以上在学し、厳格な成績評価に基づき所定の単位を修得し、学位論文を提出してその審査を受け、修了要件を満たした学生に対して、修了を認定し修士(農学)の学位を授与します。

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

教育課程の編成と教育内容

 生物環境学専攻では、高度な専門的知識、技術を身に付けさせるとともに、生物環境学に係わる多様な先端研究を理解し、かつ、自身の研究成果を幅広く発信できるプレゼンテーション能力を身に付けさせる教育を行うことを特色としています。具体的には、森林資源学コース、森林環境管理学サブコース、バイオマス資源学コース、地域環境工学コース、環境保全学コース、水環境再生科学特別コースにおいて、各分野の最先端の科学と技術に係わる教育を実施する一方で、コー ス共同開講方式による現地実習(インターンシップ)、実習報告会、研究発表会(中間発表会、最終発表会)などを実施します。これらにより、特定分野の専門家としてはもとより、生物環境学における一般実務家としても高い能力をもった人材の育成が達成されます。
専攻必修科目としてコース概説科目を開講し、各専攻の研究領域に関する基礎知識、最先端研究について修得した上で、専門科目1単位化とクォーター制導入によって、専門分野について広範な知識・技術を修得するカリキュラム構成とします。

教育方法と成績評価

 講義形式の授業だけでなく、実験・実習、ディスカッション、プレゼンテーションなど、ディプロマ・ポリシーに示す教育目的と学習の到達目標に応じて最適な形式の授業を実施します。また、授業時間外の学習を含む十分な学習時間を確保できるように、eラーニングなど時間外学習を支援するツールを用意します。
すべての授業において、客観的な評価基準に基づき、筆記試験、レポートなどにより厳格な成績評価を実施します。

カリキュラムの評価

 学位論文及び審査会の内容、学生や修了予定者に対するアンケート調査を分析し、学修到達目標の達成状況や学位の学術的な水準について検証します。

カリキュラムマップ

アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)

求める入学者像

 生物環境学専攻は,山から海に至る広範囲の環境問題に関する諸問題を解決するための俯瞰的な視野を持ち,地域規模から世界規模の範囲で活躍する意欲のある学生を受け入れることを,アドミッション・ポリシーとしています。
そこで、生物環境学専攻は次のような資質を有する学生を求めます。

(知識・技能・理解)
 1.学士課程で農学の基礎を学び、その学理をより深く修めるための用意が十分にできている。
 2.研究活動を行うための基礎的技能を有している。
 3.生物環境の創造・修復・保全・管理・利用に関する学士課程で修得すべき専門知識と技術を有している。

(思考・判断)
 地域社会や国際社会における食料、生命、環境に関連する諸課題、特に生物環境に関連する諸課題の原因を論理的に説明でき、解決策を見出すことができる。

(興味・関心・意欲)
 上記の諸課題への関心と身に付けた知識をこれらの解決に役立てたいという意欲をもち、倫理性をもって、継続的に課題解決のための行動をとることができる。

(表現)
 自らの論理的な思考・判断のプロセスや結果を説明するためのプレゼンテーション能力とコミュニケーション能力を有している。

(主体性・協働性)
 主体性をもって多様な人々と協力することにより、上記諸課題の解決に取り組むことができる。

入学者選抜の方針

 学士課程を通じて修得した基礎的な知識・技能、それらを活用する能力、主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度などを、筆記試験や面接により多面的・総合的に評価します。また、留学生に対しては渡日前入学許可制度による私費外国人留学生入試を採用し、多様な属性をもつ意欲ある学生に対して門戸を開きます。社会人入学生に対しては、企業や公共団体等での活動によって得た知識や経験を面接で評価します。