柑橘産業イノベーションセンター 愛媛大学 農学部・大学院農学研究科

本センター設置の趣旨

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センター設置の背景

愛媛県の主要産業である柑橘産業は,「平成30年7月豪雨」により愛媛県内各地で甚大な被害を受け,特に,「愛媛みかん発祥の地」として知られ200年以上のみかん栽培の歴史のある宇和島市吉田町,及び,西予市の被害は特に深刻でした。農学研究科では,愛媛県内の柑橘産業の復興と発展を支援するため,予てから愛媛県内のステークホルダーからの要望もあり懸案であった柑橘産業に関する研究・人材育成等の拠点を設置することといたしました。
農学研究科における研究分野は多岐に及び,これまでに培ってきた栽培技術,遺伝子研究,園地管理,食品,流通,経営,防災等の幅広いシーズを最大限に利用して,柑橘産業における様々な課題に対応していきます。また,愛媛大学防災情報研究センター,農学研究科附属食品健康科学研究センター,愛媛県農林水産研究所との連携を図り復興支援を行って,将来の災害に備えるシステムを構築し,愛媛県内の柑橘産業の発展を支援する地域産業特化型研究センターを目指します。

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センター設置の目的

  1. 農学研究科において基礎研究を通して培われてきた多様な分野のシーズを柑橘産業のイノベーションにつなげることによって,愛媛県における柑橘産業の復興とさらなる成長に貢献することにより,地域の柑橘農家が将来に希望を持ち,安心して営農を継続できるように支援することを目的としています。
  2. 将来の柑橘産業における先端科学技術の活用によるイノベーションについて,情報を生産者等と共有するために柑橘フォーラムを開催し,リカレント教育等によって産地の活性化に貢献していきます。

センターにおける活動の方向性

柑橘産業の復興及び発展を支援する取組により,将来の愛媛県の柑橘産業を支えていきます。学内施設である愛媛大学防災情報研究センター,農学研究科附属食品健康科学研究センター及び愛媛県の農林水産研究所と連携して活動を行い,さらに,毎年,愛媛大学農学研究科樽味キャンパスで開催している「愛媛大学大学院農学研究科・愛媛県農林水産研究所合同研修会」等を利用して,県,企業とのマッチングを目指しながら,産学官で次の事項に取り組みたいと考えています。この方向性は,愛媛大学の戦略である「地域の持続的発展を支える人材育成の推進」及び「地域産業イノベーションを創出する機能の強化」に資するものであり,愛媛県が国の施策等に関する提案・要望を行う事業を支えるものでもあると考えています。

まず,現状調査として,被災地の災害復興本部へ参画し,今後設置される地方自治体の各種協議会に専門家の委員として出席していきます。また,柑橘農家へのアンケートによる意識調査,ニーズの発掘を実施し,定期的に行う情報交換会を通して大学のシーズとのマッチングを行っていきます。さらに,復興事業における災害に強い生産基盤づくりのために,愛媛大学防災情報研究センター,南予地域柑橘農業復興支援チーム(愛媛県)等と連携しながら,被災農地の復興,再編整備等に際しての防災対策を踏まえた助言等を行っていきます。

これに加えて,復興と発展に向けた取組として,今後予想される洪水,渇水,地震等の災害に対応した園地整備や水管理システム,IT技術を取り入れた園地,園地の野生動物対策等のモデルをそれぞれ立案・普及させ,将来安心して営農を継続できる取組を行っていきます。さらに,愛媛県農林水産研究所と連携して新しい栽培技術の開発及び品種改良に努めます。柑橘産業の利益向上を目指した六次産業化の促進のために,高付加価値を持つ新たな品種を作出し,農学研究科附属食品健康科学研究センター,企業と連携して新商品を開発していきます。このほか,海外への輸出拡大のための流通システム,低コストで高品質を維持するポストハーベスト技術の開発,ブランド化やマーケティング,フードシステムの再構築,簡易な残留農薬分析技術の開発等を行い,営農に意欲のある農家の経営を継続するためのモデルを提案していくと共に,担い手支援,若手農家の育成および六次産業化促進のための企業とのマッチングを目指したリカレント教育等を実施していきます。 

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