愛媛大学農学部・大学院農学研究科

大学院

食料生産学専攻

 食料生産学専攻では、農業生産、植物工場、農業経営、水産業などに関するより高度な専門教育を行い、食料生産に関わる基礎知識と俯瞰的な視野と総合的思考 能力を身に付けさせる。また、農業生産学、植物工場システム学、食料経営学、水産学といった専門分野の講義科目や演習・実習科目を履修させ、より実践的な かつ高度な専門知識や技術を習得させるとともに、これらを包括する汎用的能力を身に付けさせる。本専攻における教育内容は、農学、水産学の基本となる生物 学をベースとし、それに、先端的工学技術と社会科学的知識・手法を加えることになるため、農業、食料生産に関する文理融合的かつ広範な総合科学となり、大 きな変革が求められる次世代の食料生産にも積極的に対応・貢献できる人材を育成することができる。

コース・教育分野等

コース教育分野教員
農業生産学コース

作物学

 光合成・物質生産に関する基礎研究を進め,それに基づく効率的な作物の栽培技術の確立に関する教育研究を行う。

コースの教員

果樹学

 果樹栽培におけるさまざまな問題を生理生態学的に解明し,高品質果実を安定的に生産する技術の開発に関する教育研究を行う。

蔬菜花卉学

 蔬菜及び花卉を対象として,生理生態的特性の解明を通じて高品質・高収量生産のための好適な栽培技術の確立を目指した教育研究を行う。

畜産学

 家畜に見られる様々な生理現象を動物生理学,動物行動学ならびに動物栄養学的な技術を用いて解明し,効率的な畜産技術の確立を目指した教育研究を行う。

植物病学

 植物病原菌の形態形成並びに感染戦略と宿主植物細胞の抵抗反応に関する研究を行う。

環境昆虫学

 農林害虫の総合的防除技術,昆虫生態,昆虫の系統分類及びこれを基礎とした環境評価などの教育研究を行う。

分子生物資源学

 生物資源に関して,遺伝子の構造及び機能の解析,遺伝子発現抑制等の諸現象を分子生物学的に解析し,病害抵抗性等の新しい有用作物の開発・評価を目指した教育研究を行う。

土壌肥料学

 土壌の養分動態解析,植物栄養分析,土壌特性解析を基礎とし,地域資源や有用生物を活用した持続的・環境保全的な土壌,栽培管理に関する教育研究を行う。

比較農学

 熱帯・亜熱帯から温帯地域に広く展開される多様な農業を事例に,その特性を相互に比較しながら,地域の持続的生産技術と農耕文化に関わる教育研究を行う。

植物工場システム学コース

環境情報制御学

 植物・貯蔵工場等において,高品質な農産物を大量生産するための環境条件に対する植物応答(又は果実応答)の計測と解析,環境制御の最適化,農業生産システムの情報化・知能化・情報データベース化などを教育研究する。

コースの教員

植物工場情報システム学

 植物工場における作物の効率的かつ安定的な生産のための植物生体情報と栽培管理の知識ベース化,情報システムのネットワーク化,成育診断のための画像処理などに関する教育研究を行う。

緑化環境工学

 居住空間に植物を配置することで人間の快適性を向上させるシステム(グリーンアメニティ),植物工場・温室における環境調節および植物診断に関する教育研究を行う。

植物細胞システム計測学

 栽培植物の生育する環境(養分,温度,乾燥,光条件)が与えるストレスと植物の応答反応を組織・細胞・分子レベルで生理学的に研究する。

環境植物学

 植物の環境応答や細胞代謝の制御機構について,分子細胞生物学・生化学的アプローチにより教育研究を行う。

植物育種学

 園芸作物を対象にして,遺伝を基礎とした植物育種に関する理論と技術の発展を目的とし,遺伝資源の収集保存及び特性調査,遠縁交雑による遺伝子の導入及び異質細胞質の効果,成分及び花色育種,耐病虫性及び耐暑性育種,バイオナーサリー技術の開発などの教育研究を行う。

農業機械システム工学

 植物工場での情報計測および各種作業支援機能を有した知能ロボット,省エネ型農業機械など,農業を産業として支えるために必要な工学的技術やシステム開発に関する教育研究を行う。

流通工学

 農産物の品質保持及び付加価値向上に資する流通技術の開発およびその最適化について教育研究を行う。

食料生産経営学コース

地域資源管理

 農地,水,および動植物に由来する有機性資源(バイオマス)を地域資源としてとらえ,安全・安心な食料生産システムの構築に向けて,経済的・社会的にその機能を解明するとともに,合理的な利用のあり方について教育研究を行う。

コースの教員

国際農業

 農業問題を国際的視点に重きを置き,経済学・政治学的手法で解明し,問題解決の方策を探究する。また諸外国の農業制度・政策を比較検討することにより,農業制度のあり方を探る。たとえば,社会主義の農業制度と資本主義の農業制度を,比較体制論的に検討し,望ましい農業制度はどういう制度であるべきか,社会主義的農業制度の長所・短所は何なのか等について教育研究を行う。

海域生業論

 瀬戸内から東南アジア諸嶼部へとつらなる多島海に生きる人々は,海と森と野を利用する生態智(エコ・ソフィア)を育んできた。海域世界で営まれてきた農林水産業を住民の視点から捉えなおす海域生業論に立脚し,地域間比較ならびに歴史研究を通じて,今後の生物資源利用・管理のあり方を提示する。

フードシステム

 農林水産業から,食品製造業,食品卸売業,食品小売業,外食産業を経て,最終の消費者の食生活に至る食料供給の一連の流れをシステムとして捉え,体系的に教育研究を行う。

農業政策

 農業政策の体系,枠組み,あり方を農業・農村の現状をふまえて検討し,農業・農村振興のために必要な農業政策・制度の立案ができる能力を育てる教育・研究を行う。

農業経営学

 農業経営経済評価,環境保全型農業・循環型食料産業形成の経済分析および政策評価手法等に関する研究と教育を行う。

水産社会

 水産業というインダストリーに焦点をあて,水産業・漁村地域で生起する諸問題を社会学(社会構造論・生活ネットワーク論)や文化人類学(生活文化論・地域文化論)の視点から総合的に検討する。

水産経営

 水産業や漁業地域の持続可能な発展を目的として,水産業・漁村ならびに水産物の生産・流通・消費について経済理論(経営論・管理論など)と実践(現地調査・地域連携など)にもとづきながら総合的に教育研究を行う。

アグリビジネス

 世界農業・農産物貿易の構造変化が,アグリビジネス多国籍企業の成長と影響力の拡大と平行していることに注目し,農業の方向について,経済理論・経営分析・農村調査を重視した教育研究を行う。

水圏生産学コース

水産生命科学

 増養殖をはじめ水産現場で生起する問題点の解決,水産業の生産性向上に繋がる基礎技術の開発,および新しい養殖種の開発に関する教育研究を行う。

コースの教員

水産環境科学

 水産資源や養殖漁場を持続的に利用し,将来にわたって水産業を発展させていく上で基盤となる漁場環境の保全や修復,水産資源の管理,生物多様性の維持,遺伝的多様性の保全,赤潮の発生予測など,地域の環境問題を取り込みながら総合的に教育研究する。

水産社会科学

 水産振興や漁村地域活性化の方策について検討し,水産業・漁村の多面的機能,水産物の生産~加工~流通~消費に関わる社会・経済システムなどを人文・社会科学的なアプローチで総合的に教育研究する。

知能的食料生産科学特別コース

知能的食料生産科学

 コンピュータコミュニケーション技術の開発と利用,植物生体情報や環境情報の収集と解析,植物や環境に関するビッグデータ活用を通して,食料生産の情報化・知能化の推進,スマートアグリの実現を目指し,6次産業化などの総合情報システム化によるフードイノベーションに関する教育研究を行う。

コースの教員

ディプロマ・ポリシー(修了認定・学位授与の方針)

教育理念と教育目的

 食料生産学専攻は、愛媛大学大学院学則及び愛媛大学憲章の趣旨を踏まえ、農学領域に関連する学術の理論及び応用の研究並びにそれらの成果を基に、食料、生命、環境に関する専門的知識・技術、特に食料に関する高度な専門的知識・技術を学生に修得させ、自然と人間が調和する循環型社会の創造に貢献できる高度専門職業人や研究者を養成し、併せて、農学分野に関心をもつ社会人を再教育することによって、地域社会や国際社会における産業の発展と文化の進展に貢献することを目的としています。

育成する人材像

 農学分野が担うべき「安全で安心な食料の安定的供給」を実現するため、学士課程で修得した専門知識・技術の上に、圃場、栽培施設、植物工場などにおける植物生産と、水圏における漁業生産、それらの収穫・生産物の流通、貯蔵、加工、販売のプロセスに関する高度な教育研究を行う。さらに、最近は「農業の6次産業化」、「農業の産業化」、「スマートアグリ」などの言葉が頻繁に使われるように、農業・食料生産の質的、構造的転換が求められていることから、次世代の食料生産システムにも積極的に貢献できる人材を育成します。

学習の到達目標

(知識・技能・理解)
 生物生産技術の開発と安全・安心な食料の安定供給に関する高度な専門知識と技術を修得している。また、これらを用いるための高い倫理観を身につけている。

(思考・判断)
 自然と共生する持続可能な社会の構築の観点から、地域社会や国際社会における食料、生命、環境に関連する諸課題、特に食料に関連する諸課題の原因を論理的考察に基づいて説明し、有効な解決策を見出すことができる。

(興味・関心・意欲)
 上記の諸課題への関心と身に付けた高度な知識や技能をこれらの解決に役立てたいという意欲をもち、高い倫理性をもって、課題解決のための行動を自律的・継続的にとることができる。

(表現)
 高度なプレゼンテーション能力と高いコミュニケーション能力をもち、自らの論理的な思考・判断のプロセスや結果を適切に説明することができる。

(主体性・協働性)
 優れた主体性・協働性を発揮し、上記の諸課題を解決することができる。

修了認定・学位授与

 農学研究科の定める教育課程を修め、規定する期間以上在学し、厳格な成績評価に基づき所定の単位を修得し、学位論文を提出してその審査を受け、修了要件を満たした学生に対して、修了を認定し修士(農学)の学位を授与します。

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

教育課程の編成と教育内容

 食料生産学専攻では、農業生産、植物工場、農業経営、水産業などに関するより高度な専門教育を行い、食料生産に関わる基礎知識と俯瞰的な視野と総合的思考能力を身に付けさせます。また、農業生産学、植物工場システム学、食料経営学、水産学といった専門分野の講義科目や演習・実習科目を履修させ、より実践的なかつ高度な専門知識や技術を修得させるとともに、これらを包括する汎用的能力を身に付けさせます。本専攻における教育内容は、農学、水産学の基本となる生物学をベースとし、それに、先端的工学技術と社会科学的知識・手法を加えることになるため、農業、食料生産に関する文理融合的かつ広範な総合科学となり、大きな変革が求められる次世代の食料生産にも対応できます。
専攻必修科目としてコース概説科目を開講し、各専攻の研究領域に関する基礎知識、最先端研究について修得した上で、専門科目1単位化とクォーター制導入によって、専門分野について広範な知識・技術を修得するカリキュラム構成とします。

教育方法と成績評価

 講義形式の授業だけでなく、実験・実習、ディスカッション、プレゼンテーションなど、ディプロマ・ポリシーに示す教育目的と学習の到達目標に応じて最適な形式の授業を実施します。また、授業時間外の学習を含む十分な学習時間を確保できるように、eラーニングなど時間外学習を支援するツールを用意します。
すべての授業において、客観的な評価基準に基づき、筆記試験、レポートなどにより厳格な成績評価を実施します。

カリキュラムの評価

 学位論文及び審査会の内容、学生や修了予定者に対するアンケート調査を分析し、学修到達目標の達成状況や学位の学術的な水準について検証します。

カリキュラムマップ

アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)

求める入学者像

 食料生産学専攻は,安全・安心な食料の安定的供給を実現するために,食料生産に関する諸問題を解決するための俯瞰的な視野と思考能力を持ち,科学的根拠に基づいた幅広い知識や高度な技術を身につける意欲的な学生を受け入れることを,アドミッション・ポリシーとしています。
 そこで、食料生産学専攻は次のような資質を有する学生を求めます。

(知識・技能・理解)
1.学士課程で農学の基礎を学び、その学理をより深く修めるための用意が十分にできている。
2.研究活動を行うための基礎的技能を有している。
3.地域社会や国際社会における安全・安心な食料の安定的供給に関する学士課程で修得すべき専門知識と技術を有している。

(思考・判断)
 地域社会や国際社会における食料、生命、環境に関連する諸課題、特に食料に関連する諸課題の原因を論理的に説明でき、解決策を見出すことができる。

(興味・関心・意欲)
 上記の諸課題への関心と身に付けた知識をこれらの解決に役立てたいという意欲をもち、倫理性をもって、継続的に課題解決のための行動をとることができる。

(表現)
 自らの論理的な思考・判断のプロセスや結果を説明するためのプレゼンテーション能力とコミュニケーション能力を有している。

(主体性・協働性)
 主体性をもって多様な人々と協力することにより、上記諸課題の解決に取り組むことができる。

入学者選抜の方針

 学士課程を通じて修得した基礎的な知識・技能、それらを活用する能力、主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度などを、筆記試験や面接により多面的・総合的に評価します。また、留学生に対しては渡日前入学許可制度による私費外国人留学生入試を採用し、多様な属性をもつ意欲ある学生に対して門戸を開きます。社会人入学生に対しては、企業や公共団体等での活動によって得た知識や経験を面接で評価します。