愛媛大学農学部・大学院農学研究科

大学院

生命機能学専攻

 生命機能学専攻では、学士課程教育で培った知識をベースとして、様々な生物やそれらを構成する細胞内で起こる生命現象の化学的解明や、食品成分を含めた 生体分子の生理機能等に関する基礎から応用に至る教育研究を行う。また、演習科目や実習科目の履修により、実践的かつ高度な専門知識や技術を修得させると ともに、これらを包括する汎用的能力を身に付けさせる。本専攻には、応用生命化学コースに加え、生命機能学領域の中で食と健康に特化した健康機能栄養科学 特別コースを設置し、医農連携による学際的教育体制をとるとともに、農学部附属食品健康科学研究センターと連携して、食と健康に関する高度な教育・研究を 実施することを特徴とする。

コース・教育分野等

コース教育分野教員
応用生命化学コース

生物有機化学

 有機化学的手法を用いた天然物有機化合物及び合成化合物の生理活性,生理活性発現メカニズムに関する教育,研究を行い,生物資源,食品の機能解明を目指す。

コースの教員

天然物有機化学

 天然資源の有効利用(農医薬品の開発,食品の機能解明)を目指し,低分子化合物を中心とした有用な有機化合物の単離,同定,さらに,生合成経路の解明に関する教育研究を行う。

栄養科学

 食物成分の健康との関わりを実験動物,生化学的手段を用いて明らかにしようとする等の研究とその基礎となる教育を行う。

生化学

 真核細胞の構造と機能を生化学および遺伝子工学の手法を用いて解明するとともに,食品機能成分や食品微生物を有効利用するための教育と研究を行う。

微生物学

 微生物細胞および微生物代謝産物の高度利用,有用物質の発酵生産技術の開発,微生物の新機能の開発と応用等に関連した教育研究を行う。

発酵化学

 微生物の営みのひとつである発酵に着目して,発酵微生物の細胞機能を,ゲノム情報に基づいた解析や,生化学・分子生物学的手法により,発酵化学的視点で理解し,有用物質生産の効率化や新規バイオプロセスの開発に資する基盤情報を得ることを目的とした教育研究を行う。

動物細胞工学

 動物細胞培養技術や分子生物学的手法を用いて,免疫調節活性や抗ガン活性などの生体調節機能を持つ機能性分子の探索と機能評価,および作用メカニズムの解明を行うとともに,その応用に関する研究と教育を行う。

植物化学

 生物工学および化学的手法を用いて,植物資源(バイオマス資源)の有効利用や植物の機能を解明するため,組織培養による生理活性物質の生産,バイオマスの資源化・燃料化,微生物と植物との共生関係の解明,微生物や植物による環境汚染物質の分解浄化法の開発などの基礎およびこれらの応用に資するための教育研究を行う。

遺伝子制御工学

 生体の環境応答機構を,分子レベルより総合的に理解することを目的として,分子生物学,細胞生化学分野の教育と研究を行う。生体膜のはたらき,特に物質輸送,エネルギー代謝などに焦点を当て,遺伝子工学,蛋白質工学の手法を用いて,新規の機能性分子の創成と産業利用を目指す。

細胞分子機能学

 細胞の内部において種々の生命現象が展開する「場」であるオルガネラに着目して,生命活動の担い手であるタンパク質の機能解析を通して,オルガネラの形成といった基礎から,代謝の改変によるオルガネラ機能強化といった応用にいたる教育研究を行う。

地域健康栄養学

 食が健康に及ぼす影響を明らかにするための栄養疫学研究(観察型研究、介入研究)を実施する。栄養疫学・統計学的知識をはじめ、栄養疫学研究を遂行するための教育を行う。

健康機能栄養科学特別コース

食品機能学

 食と健康をキーワードに,食品成分の第三次機能である生体調節機能を動物培養細胞や動物実験,さらにはヒト介入試験等により明らかにするとともに,それを活用した機能性食品の開発などへの応用も目指した教育研究を行う。

コースの教員

地域健康栄養学

 食と健康をキーワードに,食品成分の第三次機能である生体調節機能を動物培養細胞や動物実験,さらにはヒト介入試験等により明らかにするとともに,それを活用した機能性食品の開発などへの応用も目指した教育研究を行う。

基礎食品科学

 食品の素材は主に,生物体そのものまたは生物体の加工物からなっており,これらの素材の科学的基礎研究は,食品の新たな機能発見,機能発現メカニズム解明につながるものである。また,現在は食品として利用されていない未利用生物資源も,その研究によって食品への新たな利用につながる可能性がある。本研究分野は,生物体に含まれる分子の機能性解析と食品への応用のための高機能化,未利用生物資源の食品への利用を目的とした教育,基礎研究を分野横断的に行う教育分野である。

食品微生物機能学

 食品の発酵に関わる微生物機能を、ゲノム情報に基づいた解析や生化学・分子生物学的手法により明らかにし、その成果を新たな食品機能性の創出や発酵醸造技術等へ応用することを目指した教育研究を行う。

ディプロマ・ポリシー(修了認定・学位授与の方針)

教育理念と教育目的

 生命機能学専攻は、愛媛大学大学院学則及び愛媛大学憲章の趣旨を踏まえ、農学領域に関連する学術の理論及び応用の研究並びにそれらの成果を基に、食料、生命、環境に関する専門的知識・技術、特に生命に関する高度な専門的知識・技術を学生に修得させ、自然と人間が調和する循環型社会の創造に貢献できる高度専門職業人や研究者を養成し、併せて、農学分野に関心をもつ社会人を再教育することによって、地域社会や国際社会における産業の発展と文化の進展に貢献することを目的としています。

育成する人材像

 学士課程で身に付けた生命機能学領域の専門的基礎知識や技術を活かして、バイオテクノロジー分野全般にわたる広い見識を備えつつ、より専門性が高い知識と確かな技術を修得し、食品、化学、医薬などの領域において様々な課題の解決を担う高度な専門職人材を育成します。

学習の到達目標

(知識・技能・理解)
 生命機能の解明と生物資源の利用に関する高度な専門知識と技術を修得している。また、これらを用いるための高い倫理観を身につけている。

(思考・判断)
 自然と共生する持続可能な社会の構築の観点から、地域社会や国際社会における食料、生命、環境に関連する諸課題、特に生命に関連する諸課題の原因を論理的考察に基づいて説明し、有効な解決策を見出すことができる。

(興味・関心・意欲)
 上記の諸課題への関心と身に付けた高度な知識や技能をこれらの解決に役立てたいという意欲をもち、高い倫理性をもって、課題解決のための行動を自律的・継続的にとることができる。

(表現)
 高度なプレゼンテーション能力と高いコミュニケーション能力をもち、自らの論理的な思考・判断のプロセスや結果を適切に説明することができる。

(主体性・協働性)
 優れた主体性・協働性を発揮し、上記の諸課題を解決することができる。

修了認定・学位授与

 農学研究科の定める教育課程を修め、規定する期間以上在学し、厳格な成績評価に基づき所定の単位を修得し、学位論文を提出してその審査を受け、修了要件を満たした学生に対して、修了を認定し修士(農学)の学位を授与します。

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

教育課程の編成と教育内容

 生命機能学専攻では、学士課程教育で培った知識を基礎として、種々の生物やそれらを構成する細胞で起こる生命現象の化学的解明、食品成分を含めた生体分子の生理機能の解明などの基礎領域からその成果の応用による生物資源の有効活用に至る教育研究を行います。また、演習科目や実習科目の履修により、実践的かつ高度な専門知識や技術を修得させるとともに、これらを包括する汎用的能力を身に付けさせます。本専攻には、応用生命化学コースに加え、生命機能学領域の中で食と健康に特化した健康機能栄養科学 特別コースを設置し、医農連携による学際的教育体制をとるとともに、農学部附属食品健康科学研究センターと連携して、食と健康に関する高度な教育・研究を 実施することを特徴としています。

 専攻必修科目としてコース概説科目を開講し、各専攻の研究領域に関する基礎知識、最先端研究について修得した上で、専門科目1単位化とクォーター制導入によって、専門分野について広範な知識・技術を修得するカリキュラム構成とします。

教育方法と成績評価

 講義形式の授業だけでなく、実験・実習、ディスカッション、プレゼンテーションなど、ディプロマ・ポリシーに示す教育目的と学習の到達目標に応じて最適な形式の授業を実施します。また、授業時間外の学習を含む十分な学習時間を確保できるように、eラーニングなど時間外学習を支援するツールを用意します。
すべての授業において、客観的な評価基準に基づき、筆記試験、レポートなどにより厳格な成績評価を実施します。

カリキュラムの評価

 学位論文及び審査会の内容、学生や修了予定者に対するアンケート調査を分析し、学修到達目標の達成状況や学位の学術的な水準について検証します。

カリキュラムマップ

アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)

求める入学者像

 生命機能学専攻は,生命化学分野に関する諸問題を解決するための俯瞰的な視野を持ち,生命機能の解明と生物資源の有効活用に意欲的に取り組むことができる学生を受け入れることを,アドミッション・ポリシーとしています。
 そこで、生命機能学専攻は次のような資質を有する学生を求めます。

(知識・技能・理解)
 1.学士課程で農学の基礎を学び、その学理をより深く修めるための用意が十分にできている。
 2.研究活動を行うための基礎的技能を有している。
 3.生命機能の解明と生物資源の利用に関する学士課程で修得すべき専門知識と技術を有している。
(思考・判断)
 地域社会や国際社会における食料、生命、環境に関連する諸課題、特に生命に関連する諸課題の原因を論理的に説明でき、解決策を見出すことができる。

(興味・関心・意欲)
 上記の諸課題への関心と身に付けた知識をこれらの解決に役立てたいという意欲をもち、倫理性をもって、継続的に課題解決のための行動をとることができる。

(表現)
 自らの論理的な思考・判断のプロセスや結果を説明するためのプレゼンテーション能力とコミュニケーション能力を有している。

(主体性・協働性)
 主体性をもって多様な人々と協力することにより、上記諸課題の解決に取り組むことができる。

入学者選抜の方針

 学士課程を通じて修得した基礎的な知識・技能、それらを活用する能力、主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度などを、筆記試験や面接により多面的・総合的に評価します。また、留学生に対しては渡日前入学許可制度による私費外国人留学生入試を採用し、多様な属性をもつ意欲ある学生に対して門戸を開きます。社会人入学生に対しては、企業や公共団体等での活動によって得た知識や経験を面接で評価します。